便潜血検査とは|大腸がんの早期発見のために
6月から、各自治体の区民健診やがん検診、企業の健康診断が本格的に始まりました。
それに伴い、大腸がん検診の一つである「便潜血検査」を受ける方が増えています。
毎年の健診で目にする検査ですが、「そもそもどういう検査?」「どのくらいの精度があるの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、便潜血検査のしくみや特徴、そして限界について紹介します。

便潜血検査とは?
目に見えない出血から、大腸がん(結腸がん、直腸がん)の可能性を見つける検査です
便潜血検査は、便の中に混じった目に見えない血液(潜血)を調べる検査です。
大腸にポリープやがんがあると、便が通る際に腸の粘膜が刺激され、ごく少量の出血が起きることがあります。
この血液を検出することで、大腸がんや前がん病変の早期発見につなげることができます。
実際、便潜血検査を毎年受けることで、大腸がんによる死亡リスクが下がることが世界中の研究で明らかになっています。
そのため、自治体の検診や企業健診でも広く導入されている、信頼性の高い検査です。
日本で主に使われている「免疫法」とは?
便潜血検査には2つの方式がありますが、日本では「免疫法」が主に使用されています
これは、人の血液成分(ヘモグロビン)にだけ反応する検査方法で、食事制限が不要かつ精度が高いという特徴があります。
さらに日本では、より感度を高めるために「2日法(2日分の便を検査する方法)」が一般的です。1回だけの検査に比べて、大腸がんを見つけられる可能性が高くなります。
便潜血検査の限界とは?
便潜血検査は簡便で有効な検査ですが、すべての大腸がんを見つけられるわけではありません。
例えば:
- ごく早期の大腸がん(粘膜内がん)は、約7割が見逃される可能性があります
- 進行がんであっても、約2割は陰性になることがあります
- 出血していないタイミングで便を採取すると、異常があっても陰性と判定されることもあります
つまり、「便潜血検査が陰性だった=がんが絶対ない」とは言い切れません。
こんな方は、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)も検討を
- 便潜血検査で陽性になった方
- 腹痛や便通異常などの症状がある方
- ご家族に大腸がんの既往がある方
- 以前にポリープを指摘されたことがある方
このような方は、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を受けることをおすすめします。
内視鏡検査は、大腸の状態を直接確認できる唯一の方法であり、ポリープがあればその場で切除も可能です。
まとめ|年1回の便潜血検査を習慣に
便潜血検査は、大腸がんによる死亡を減らすための重要な検査です。
特に自覚症状のない段階で異常を発見できる可能性があるため、年に1回の定期的な検査をすることが大切です。
一方で、便潜血検査は見逃しが起こりうる検査でもあります。
症状や不安がある場合には、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を受けることも大切です。
もし不安な症状などありましたら、いつでもご相談ください。

江東区南砂の鈴木医院では、大腸内視鏡検査のネット予約も可能です。
大腸カメラをご希望の方は、事前の説明と下剤のお渡しのため、検査前診察のご予約を検査の前々日までにお取りください。